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じてん
辞典
戸坂 潤
「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页
のみ行われ得るものとさえなるだろう。そうすればフィヒテの弁証法が愈々主観的であったことを暴露して来る。
併し浪漫派の思想にとって欠くことの出来ないものは自然の概念である。専ら主観を主題としたフィヒテの知識に対して客観(自然)を主題とするシェリングの自然哲学がその権利を要求したのは当然そうあるべきであった。分極を通じて自然の内容は順次にその勢位を高める、之がシェリングに於ける弁証法的なるものである。併し所謂自然哲学時代のこのシェリングはやがてそれが本来落ち付くべきであった場所に、同一哲学に、移り行かねばならなかった。差別が直接に何等の媒介なく取りも直さず同一であるという関係は、正に弁証法の正反対物に外ならぬ。弁証法に於ける同一は差別を通っての同一であって、差別を抜きにしての同一ではない筈である。弁証法は安易に考えられると往々同一哲学となる、然るに凡そ同一哲学は弁証法の正反対物なのである。ヘーゲル哲学を批評したと想像されるシェリング哲学の最高潮期(自由意志論時代)を支配するものは、弁証法一般に関する限り、矢張この同一哲学であったと云えるであろう。
唯物弁証法に就いては、ただ次の事だけを語っておこう。