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じてん

辞典

戸坂 潤

「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页

青空文庫

プラトンのイデアは併し、それが主観的なものでなければならぬことを少しもまだ自覚していない。イデアこそ却って世界の彼岸に存する客体であると考えられた。イデア・観念を主観にまで結び付けたものは(多くの変遷を辿った結果であることは抜きにして)、聖アウグスティヌス(St. Augustinus)であった。キリスト教的信仰の体験にまで来て初めて落ち付くことの出来たアウグスティヌスは当然なことながら、事物の価値の判別を、それが内面的であるか外面的であるかに置いた。蓋し内面的なもののみ宗教的体験の名に値するのである。だが内面的なもの、それは意識である。かくて観念は意識となる。イデアは意識にまで主観化される(今日の欧州語 Idea, Id※(アキュートアクセント付きE小文字)e は茲から来る)。かくて変質された唯心論はスコラ哲学の底を潜って、近世の初めにデカルト(R. Descartes)に現われる。デカルトの有名な哲学方法によればまず一切のものは疑われてかからなければならない。だが疑うということ自身、即ち私が疑うということ自身、は疑うことが出来ない。私が意識するということ(我考う―cogito)は疑えない。