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じてん
辞典
戸坂 潤
「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页
主観的案出による産物であることに変りはない。この意味に於ける主観性は仮説の免れない特色をなす。ポアンカレ H. Poincar※(アキュートアクセント付きE小文字) などは、仮説を或る部分的事実認識からの拡大・拡張だと考える。特定の経験的事実を、思考的に一般化することによって、他の経験的諸事実をもその一般物の上に含ませようとするのが、仮説構成の目的でありまた手続であるという意味である。仮説を今、このように経験的事実の一般化だとすれば、我々は仮説なるものが理論に於て演じる役割に注意せねばならぬ。なぜというに、理論こそ恰も、経験的事実を一般化し普遍的な場合にまで拡大・拡張したものであるからである。
理論は経験的諸事実から抽出され抽象された所のものであるが、理論も亦やがて実験的検証を受けることを要求する義務と権利とを有つ。この点理論なるものと仮説なるものとの間には殆ど何等の区別がない。ただ科学に於ける理論は何等か特殊の仮定なしに、全経験的事実を統一的に説明し得る又は得そうに思われる所のものを指すのであって、これがなお何等か特殊の仮定を置いてしか許されない場合に、その仮定が仮説に他ならない。