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のうそん
農村
宮本 百合子
「多喜二と百合子 七号~十三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年12月~1955(昭和30)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,223 字 · 97 页
若し出来るなら「のし餅」にしてくれないかと云ったら、お雛さんの時の、菱餅の様になら出来ると云うので、それをもう少しうすく四角く大きくして呉れと云ってやる。寸法と厚さを持って来た帳面に書いてやる。わかった様にうけ合って行ったけれ共、どんなものが出来上るやらわからない。あの手で千切ったベロベロの餅は、小さく四角にきちんと切った餅を澄んだ汁の中に入れてばかり食べる癖がついて居るので、とうてい餅らしい気持でのみ込む事は出来ない。祖母と女中はお年玉にやる子供の着物や「ちゃんちゃん」を縫うのにせわしく、箪笥の下の引出しには元結だの風呂敷、袢衿、前掛地の様なこまこましたものが一杯になった。
三十日の日に煤掃きを若い者の居た時はさせたと云う事だけれ共、女ばかりで、寒いのにガタガタするでもないと、三、四月の暖くなるまでのばして、外廻りを村の者に一通り掃いてもらった。いつもいつも煤掃きじゃ、障子の張りかえじゃ、自分の部屋の大掃除とセカセカして二十六日後落ちつく事がないのに、いつもどおりに変りない静けさに居る事が不思議な様な又、間のぬけた気持がする。
つめの日に夕方甚五郎爺が来た。