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のうそん
農村
宮本 百合子
「多喜二と百合子 七号~十三号」多喜二・百合子研究会、1954(昭和29)年12月~1955(昭和30)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,223 字 · 97 页
女中ばかりが、いかにもお正月を迎えた様だ。
校長の家の妻君は、紬の紋附を麗々しく白衿で着て居る。ふだんのかまわないなりの方がその人を可愛らしく見せる。田舎田舎するのが却って目立つ。
年始に来る者も来る者も女まで、赤い顔をして居る。皆それぞれさっぱりした装をして袴をはいて居るのもある。いつになく儀式ばった様子で来るので箸のあげ下しにも気を用って居る様に見える。
年賀の言葉なんかも半分位云って後はのみ込んで仕舞う。
来るものも来るものもおとそとお重詰とを食べて行く。
「もうはあ、いただかれませんからハイ。
と云いながら、出したものは食べる。
日露戦争に参加して、斥候に出て捕虜になった在郷軍人は、東京の家の書生の兄弟で、いい機嫌で、その時勇戦奮闘した様子を手まねまでして話した。
沙河附近の戦の時だったそうで、
「そりゃあ、貴方様、見事に働きましたぞえ、そんじゃから、足片方なくしても、やつにとっつかまりさえしなんだら、金しは目をつぶっててもはあ落ちて来ますのし。そうよ。溝ささかしまに、落ち込んだばっかりに、聞きたくもない捕虜になどなって、この次の戦さあ出たら、首の三つ四つは朝めし前のお土産だっし。