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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

金千代と、竜作とは、炊事方になって、村の中から、女、子供に差図して、兵糧を運ばせた。沢庵と、握飯が、すぐ冷えて人々は、昨日までの、女と、酒とを思出した。

夜半から、又、雪がちらちらしかけた。人々は、茣蓆を頭からかぶったり、近くの家の中へ入ったり、篝火を取巻いたりして、初めて経験する戦争の前夜を、不安と、興奮とで明かした。

六

山裾の小川沿いに、正面の街道から、田の畝づたいに、敵が近づいてきた。だん袋を履いて、陣笠をかむり、兵児帯に、刀を差して、肩から白い包を背負った兵であった。

四五丁の所で、右へ走ったり、左右に展開したりして、横列になった。そして小走りに進み乍ら、銃を構えた。隊長が、何かいうと、折敷いて、銃を肩へつけた。近藤が

「馬鹿なっ」

と、呟いて微笑した。そして、側の兵に

「撃ってみろ」

と云った、兵は、すぐ射撃した。近藤は、飛出す弾丸を見ようとしていたが、ばあーんと、音が、木魂しただけで弾丸の飛ぶ筋が見えなかった。

(慣れたら、見えるだろう)

と、思った。

「もう一発」

「隊長殿、ここからだと、遠すぎますよ」

「黙って打て」

勇は、白いものが、眼を掠めたように感じた。