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こんどういさみとかがく

近藤勇と科学

直木 三十五

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 页

青空文庫

だが、破裂しなかった。

「口火を切ってない」

一人が、周章てて、弾丸の口火をつけて、押込んだ。銃声と、砲声とが、入り乱れてきた。兵の後方で、土煙が噴出した。山鳴がして、兵の頭へ、雨のように降ってきた。七八人の兵が、堡塁の所へ、しゃがんでしまった。

四十挺の鉄砲方の外の人々は、槍と、刀とを構えて、堡塁から、顔だけ出していた。一人が堡塁へのしかかるように、身体を寄せて敵の前進を眺めていた。

(成る程、遠くまで届くものだな)

近藤は、立木の背後で、散兵線を作って、整然として、少しずつ前進してくる敵に、軽蔑と、感心とを混合して、眺めていた。

七

近藤は、刀へ手をかけて、弾丸の隙をねらっているように――実際、近藤は、びゅーんと、絶間なく飛んでくる弾丸に、激怒と、堪えきれぬうるささとを感じていた。一寸した隙さえあったなら、その音の中の隙をくぐって、斬崩す事ができると考えていた。

「くそっ」

誰かが、こう叫ぶ声がすると、大きい身体と、白刃とが近藤の眼の隅に閃いた。

(やったな)

と、一足踏出した途端、その男は、刀を頭上に振上げたまま、よろめきよろめき二三歩進んだ。