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このえないかくのじょうしきせい
近衛内閣の常識性
戸坂 潤
「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,545 字 · 13 页
この広義保健(?)ともいうべき観念の頭の悪さを見ることによって、また広義国防という観念の不明晰な所以も納得が行くだろう。広義国防から狭義国防を引き去って残るものの一つがこの「社会保健」的な広義保健であるのだから、要するに広義保健などが広義国防の実質内容の一つなのだ。と同時に之によって、なぜ社会政策とか何とかと称することが気がひけて、広義国防というような苦しい用語を使うかも判るわけである。ある言葉を擁護するには、之を狭義と広義に使いわけるというのは、誰れでも思いつく口実だ。社会政策に行けない場合、国防という言葉で間に合わせる絶対的な必要があるために、こういうことになるのである。
仮に広義国防ではなくて「社会政策」か「国民生活安定」にしても、吾々は容易に夫を信頼出来ぬし、又それだけに甘んじることは出来ぬ。勿論なくてはならず、当然あるべきものではあるが、之があるからと云って安心はならぬ。日本のようにまるで社会政策が無視されているのは抑々目茶であるが、ドイツのナチのように相当の社会政策を伝統の圧力のおかげで行なわざるを得ない(それも著しく制限を加えなければならなくなった)場合でも、真の社会政策としては根本錯覚がないかどうかが大問題なのである。