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うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,357 字 · 34 页
そして僕は酔って居ながらも直ぐ其理由の尋常でないことを悟ったのです。
一時間ばかり経つと里子は眼を泣き膨らして僕の居間に帰て来ましたから、『如何したのだ。』と聞くと里子は僕の傍に突伏して泣きだしました。
『母上が僕を離婚すると云ったのだろう。』と僕は思わず怒鳴りました。すると里子は狼狽て、
『だからね、母が何と言っても所天決して気にしないで下さいな。気狂だと思って投擲って置いて下さいな、ね、後生ですから。』と泣声を振わして言いますから、『そういうことなら投擲って置く訳に行かない。』と僕はいきなり母の居間に突入しました。里子は止める間もなかったので僕に続いて部屋に入ったのです。僕は母の前に座るや、
『貴女は私を離婚すると里子に言ったそうですが、其理由を聞きましょう。離婚するなら仕ても私は平気です。或は寧ろ私の望む処で御座います。けれども理由を被仰い、是非其の理由を聞きましょう。』と酔に任せて詰寄りました。すると母は僕の剣幕の余り鋭いので喫驚して僕の顔を見て居るばかり、一言も発しません。
『サア理由を聞きましょう。怨霊が私に乗移って居るから気味が悪いというのでしょう。