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みちのうえでみたはなし

道の上で見た話

小川 未明

「こどもペン 3巻4号」1949(昭和24)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,679 字 · 8 页

青空文庫

健全な秩序のなくなるということは、まっ暗な晩を、あかりをつけずに、道を歩くようなものです。ぼくには、ちょうど、そんなようなわびしさを感じたのでした。

二、三日前のこと、ぼくは、おなじ通りで、古本店を出している、おばさんから、童話の本を借りてきて、番をしながら読みました。そして、それに書いてある話に、ふかい感激をもちました。

それは、こういう話です。

おおかみが、群れをなして、すんでいました。どこへいくにも、先頭にたつのは、一ぴきの年とったおおかみでした。なぜなら、このおおかみは、もう長い間、山に生きて、いろいろの経験をして、このあたりの山中なら、どんな道も知っていれば、どこへいけば、なにがあるということから、またいろいろのばあいにたいして、だれよりも知識がふかかったからです。

たとえば、病気のときには、どの草を食べればいいとか、敵に追われたときは、どの谷へおりて、どの岩の間にかくれるとか、そのことは、とうてい、若いおおかみたちの知るところではありませんでした。

それだけでなく、かれは、敵と出あって、たたかわなければならないときも、自分は相手のいちばん強いやつをひきうけるというふうでしたから、みんなから、尊敬されていました。