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みちづれ

道連

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,366 字 · 37 页

青空文庫

た。それでも二里の道が馬鹿に遠い。初めての田舎道の遠いことは、君なんかには想像もつくまい。

そのうちに道がこんどは下り坂になって、だいぶ行くと平らになった。でも青草が半ばまで生え込んでいて、車の轍の浅いところを見ると、人通りの少い道らしかった。いつのまにか山裾を離れて、ゆるやかな河流に沿って、細々と遠くどこまでも続いている。

ふと気がついてみると、前方に何やら妙な音がしていた。不思議に思いながらそれでも力を得て、足を早めて追っかけてゆくと、空の荷車を一人の男が引いてゆくのだった。真黒な着物に草鞋ばきの農夫体の男で、帽子も被らずただ手拭で鉢巻をして、燈火一つつけないで、真暗な中をがらがら空車を引張っている。全くの空車で、縄一筋のっかってはいない。

僕は変な気がして、少し間を置いてついてゆくと、男は僕の提灯の火に気付いてか、ひょいと振向いた。その顔立は分らなかったが、ぎくりとしたらしいのが様子に見えた。僕も何だかぎくりとして、咄嗟の間に尋ねかけた。

「あの、一寸お尋ねしますが……。」そして、友人の村を名指した。「そこ迄ゆくには、この道を行ったらいいでしょうか。