轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちがうへいはちろう
違う平八郎
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,142 字 · 27 页
疾風のように駆けぬけた平八郎、全身これ弾丸という勢で喜右衛門直経の真正面へ突っかけて行った。
喜右衛門は馬首を廻らせて避けようとしたが、平八郎はその隙を与えず、馬もろ共に凄じい勢で体当りを呉れた。あっと見る間に、馬も人も縺合って顛倒する、むろん平八郎も二三間抛出されたが、神速に跳起きると、そのまま喜右衛門に飛掛って、「えいッ」とばかり組伏せ、相手の鎧徹しを抜きざま一太刀、二太刀草摺をあげて刺通した。
実に目叩く間の出来事であった。自分でも半ば夢中で、力弱る相手を押伏せたまま首を掻取った平八郎、やったやったと云いながらそれを太刀の尖へ貫いて起つ。馬を引寄せて飛乗るや、高くその首級を掲げながら、
「やあ、敵も味方も承れ」天にも届けと叫んだ、「浅井家の勇将遠藤喜右衛門直経は四位殿の家臣本多平八郎依次が討取ったるぞ、徳川家の本多平八郎ではないぞ、四位殿の家臣本多平八郎依次!」どうっと騰る味方の軍勢の賞讃の声の中で、平八郎は初めて高くその額をあげた。――今こそ彼は違う平八郎では無くなったのだ。織田家に本多平八郎ありという事をはっきりと世に示したのだ。
――遖れようこそ遊ばしました。