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なかがわのすずきつり
那珂川の鱸釣り
佐藤 垢石
「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,507 字 · 7 页
しかし、鱸が最も好んで泳ぎまわる場所は、瀬の落ち込みから下流だ。つまり、そこには小魚や蝦が集まっているからだ。落ち込みから下の流速が速く、しかもまだ陽が高かったならば三匁くらいの錘を餌から四尋くらいの上方の道糸につけて置くのだ。そして、竿を落ち込みの上手の瀬の真ん中へさし込むのである。竿は、瀬の中へ真っ直ぐに立った。それから長さ二十間の道糸をそろそろと流してやる。餌が落ち込みの下手にまで達するような位置に竿をさすのがよろしいのである。
その付近に鱸が泳いでいれば直ぐ食いつく。待ったなしに食い込んでいるのだ。日暮れ前は餌が水面下三尺ほどの位置に、日没前後には水面下一尺ほどのところにあるように、錘を加減するのを忘れてはいけない。
鱸が鈎を食い込むと、竿先を水中へ引き倒すのではあるまいかと思うほど、強引に引っ張る。そのときは、もう向こう合わせで掛かっているのだ。これを見たら、いきなり水中へ飛び込んで、竿を引き抜き、そのまま河原へ駆け上がってから、道糸を手繰り寄せ、手網は使わないで、遮二無二河原へ鱸を引っ張り上げるのである。まあ、夕方一刻にこの釣り方で大鱸の五本や六本を釣り上げるのは、大した骨の折れることではない。