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じゃしゅうもん

邪宗門

芥川 竜之介

「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页

青空文庫

何とそう云う道理ではあるまいか。」

これを聞いた盗人たちは、今更のように顔を見合せたけはいでございましたが、平太夫だけは独り、気違いのように吼り立って、

「ええ、何が阿呆ものじゃ。その阿呆ものの太刀にかかって、最期を遂げる殿の方が、百層倍も阿呆ものじゃとは覚されぬか。」

「何、その方どもが阿呆ものだとな。ではこの中に少納言殿の御内でないものもいるのであろう。これは一段と面白うなって参った。さらばその御内でないものどもに、ちと申し聞かす事がある。その方どもが予を殺害しようとするのは、全く金銀が欲しさにする仕事であろうな。さて金銀が欲しいとあれば、予はその方どもに何なりと望み次第の褒美を取らすであろう。が、その代り予の方にもまた頼みがある。何と、同じ金銀のためにする事なら、褒美の多い予の方に味方して、利得を計ったがよいではないか。」

若殿様は鷹揚に御微笑なさりながら、指貫の膝を扇で御叩きになって、こう車の外の盗人どもと御談じになりました。

十五

「次第によっては、御意通り仕らぬものでもございませぬ。」

恐ろしいくらいひっそりと静まり返っていた盗人たちの中から、頭だったのが半恐る恐るこう御答え申し上げますと、若殿様は御満足そうに、はたはたと扇を御鳴らしになりながら、例の気軽な御調子で、