轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じゃしゅうもん
邪宗門
「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页
――すると丁度そこへほかの侍たちが、扇の音をさせながら、二三人はいって参りましたので、とうとうこの話もその場限り、御流になってしまいました。
二十五
それからまた、三四日はすぎたように覚えて居ります。ある星月夜の事でございましたが、私は甥と一しょに更闌けてから四条河原へそっと忍んで参りました。その時でさえまだ私には、あの天狗法師を殺そうと云う心算もなし、また殺す方がよいと云う気もあった訳ではございません。が、どうしても甥が初の目ろみを捨てないのと、甥を一人やる事がなぜか妙に気がかりだったのとで、とうとう私までが年甲斐もなく、河原蓬の露に濡れながら、摩利信乃法師の住む小屋を目がけて、窺いよることになったのでございます。
御承知の通りあの河原には、見苦しい非人小屋が、何軒となく立ち並んで居りますが、今はもうここに多い白癩の乞食たちも、私などが思いもつかない、怪しげな夢をむすびながら、ぐっすり睡入って居るのでございましょう。私と甥とが足音を偸み偸み、静にその小屋の前を通りぬけました時も、蓆壁の後にはただ、高鼾の声が聞えるばかり、どこもかしこもひっそりと静まり返って、たった一所焚き残してある芥火さえ、風もないのか夜空へ白く、まっすぐな煙をあげて居ります。