轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とかいのゆうき
都会の幽気
豊島 与志雄
「サンデー毎日」1924(大正13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,559 字 · 21 页
私は堪らなくなって、いきなり室から飛び出て、階段を駆け下りていったが、さてどうしようかと思い惑ってると、お上さんのでっぷりした没表情な顔付が、玄関わきの障子の腰硝子から覗いていた。私はその方へ歩み寄って、前後の考えもなく尋ねかけた。
「あの室は……私の室は……何か変なことがありはしませんか。」
私の様子が変っていたせいか、お上さんはいつになく顔色を変えた。
「え、何かありましたか。」
「どうもおかしいんです。私の気のせいかも知れませんが……。」
「気のせいですよ、屹度。あれから一度も変ったことはないんですから。」
調子が何だか落付かないのと、「あれから」というふと洩れた一語とが、私を其処に立竦ましてしまった。何かあったんだな、と思うと我慢しかねて、いきなりぶちまけてやった。
「実は……若い男の姿が、床の間の上からぶら下るんです。」
「え、本当ですか!」
お上さんは息をのんで堅くなった。私も同じように堅くなった。そして暫く見合っていると、お上さんはほっと溜息をついて、私を室の中に招き入れて、誰にも口外してくれるなと頼みながら、ひそひそと話してきかしたのである。