轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,843 字 · 23 页
早鐘を撞くような動悸だった、おちつこうとしても、跡を跟けられてはいないかという怖れで、ついのめるような足早になっていた。
とにかく柏屋へ戻ろう。お滝の顔が眼に浮んだのでそう決心をし、篠原という処で勧められるままに馬へ乗った。もし追って来る者があったら乗方は知らないがそのまま馬を飛ばそうと考えて、……ついになに事もなかったが、今か今かと一寸刻みの道を続けて、ようやく浜松の町はなへ着き、そこで馬から下りた。
柏屋へはいると番頭が厭な顔をした。
彼はお滝さんを呼んで呉れと云いながら、構わず草鞋をぬぎにかかった、手がひどく震えるので濡れた緒がまるで解けない、苛いらして引切ったときお滝が出て来た。どうしたんですと云いたげな顔へめくばせをした。
「迷惑は掛けない、大事な話があるんだ、ちょっと上らして貰うよ」
お滝は小女に洗足の水を命じ、女中のひとりに部屋へ案内を云い付けると、早いのにもう客があるとみえて自分は奥へいってしまった。
……彼は二階の元の部屋へ通されると、すぐに着替えと酒を注文し、女中に小粒を一つ呉れて遣った。ここまで来れば大丈夫という安心に、ふところの五十両がすっかり気持を大きくさせたのだ、まるで嘘のように愛相のよくなった女中が、着替えをさせ、酒を運んで来た。