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きんぞくにんげん
金属人間
海野 十三
「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页
それから両手に、大げさに見えるゴムの手袋をはめ、同じくテーブルの横からたいこに大きなラッパをとりつけたようなものをつかみ出し、たいこの皮のようなところを棒で力いっぱいたたきつづけた。しかしそれは音がしなかった。そのかわり、ラッパのような口からは、銀白色の粉が噴火する火山灰のようにふきだし、陳列棚の方からのびてくるきみのわるい黒い煙をつつみはじめた。
黒い煙は、いったん銀白色の膜につつまれたが、まもなくそれを破って、あらしの黒雲のように――いや、まっくろな竜のように天じょうをなめながら、のたくりまわった。このとき頭痛が一段とひどくなって、もう誰も立っていられなかった。いや、例外がある。針目博士だけは、足をぶるぶるふるわせながらも立っていた。
「でよう。この部屋からでよう」
長戸検事が叫んだ。すると川内警部ははっていって戸口を押した。戸口はびくともしなかった。
それを博士が見たものと見え、とぶようにかけて来て、ハンドルをまわして戸をあけると、五人はあらそうようにして、外へとび出した。
五人の係官が出てしまうと、戸はもとのようにしまった。博士がしめたのである。