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かねもちとにわとり

金持ちと鶏

小川 未明

「こども雑誌」1919(大正8)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,847 字 · 6 页

青空文庫

いままでのように、金持ちは、卵を産む鶏をたいせつにしなくなりました。どうかして、こんなありふれた鶏をどこかへやって、珍しい鶏をほしいものだと思いました。

ある日のこと、金持ちはふたたび町の鳥屋にやってきました。

「鳥屋さん、どうか私に珍しい鶏を売ってくれないか。この前、この店で買って帰った鶏はありふれた鶏で、珍しくもなんともない。」といいました。

すると、鳥屋の主人は、

「この前いらしたときには、卵をたくさん産む鶏が欲しいとの仰せでしたから、卵を産む鶏をさしあげたのです。いかがですか、卵を産みましたか。」と聞きました。すると、金持ちは顔をしかめて、

「産むにもなんにも、毎日うるさいほど産む。卵ばかり食っていられるもんでなし。」と、かえって不平をいいましたので、さすがの鳥屋の主人もたまげてしまいました。

「よろしゅうございます。そこの金網を張ったかごの中にいる鶏は珍しい鶏です。おそらく、こんな鶏をこの近在に持っている人はありません。強いことはこのうえなしです。かごから外に出すときは、脚になわをつけておかないと、空を飛んで、逃げてゆきます。これは対馬からきましたので、野生の鶏でございます。