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ぎんのつえ

銀のつえ

小川 未明

「童話」1924(大正13)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,721 字 · 8 页

青空文庫

それは、やさしい自分の妹が植えてくれたということがわかりました。彼は、死んでからも、自分にやさしかった、兄や、妹を思うと、なつかしきにたえられなかったのです。早く帰って、兄や、妹に、あいたいと思いました。

「いや、おまえは、自由に、どこへもゆくことはできないのだ。ただ、私についてくればいい。私は、おまえが見たいという人たちに、あわせてやろう……。」と、おじいさんは、冷たい目でじっと見ながらいいました。

「おまえは、兄さんを見たいだろう?」と、銀のつえを持った、おじいさんは、いいました。

彼は、うなずきました。

「つれていってやろう。けれど、声をみだりにたててはならない。もし、私のいうことをきかないときは、このつえでなぐる。するとおまえの体は、微塵に砕けてしまうぞ。」と、おじいさんはいいました。

彼は、おじいさんのあとについてゆきました。そして、なつかしい我が家の前に立つと、だいぶんあたりのようすが変わっていました。

「どうして、わずかの間に、あたりが変わったのだろう?」と、彼は、不思議に思いました。

「あの白髪の働いている人は、だれだろう?」と、彼は、たずねました。