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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

200 死骸の花嫁

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,163 字 · 25 页

青空文庫

「合点ッ」

「ま、待ちなよ。今すぐというわけじゃねえ、差当りここで聞けるだけは聞いて行きたい。第一、あの駕籠を見て置かなきゃ――」

「磯の安松とか言う野郎を挙げてしまいましょうか」

「それも宜かろうが、急ぐには及ぶまい」

平次は言い捨てて、路地の中に据えたままになっている駕籠に近づきました。

「ちょいと、提灯を貸してくれ」

「へエ」

駕籠屋が差出した提灯を受取ると、平次は駕籠の中に頭を突っ込むようにして、念入りに調べました。

「ひどい血ですね、親分」

後ろから覗く八五郎。

「この血の中で、死骸の膝の上にあったという、短刀の鞘が、大して汚れていないのは不思議じゃないか、八」

「へエ?」

「その癖拭いた様子もない、――鞘には泥が付いているくらいだから」

平次は何やらむずかしい方程式を考えている様子です。

「仲人の伊賀屋夫婦のほかには、嫁の駕籠を覗いた者もないようですが、――どうして短刀を胸に突っ立てたんでしょう」

「それが解れば、下手人はすぐ挙がるよ」

「駕籠の扉の開いたところを狙って、遠くから弓かなにかで短刀を射込んだのじゃありませんか」

八五郎は妙なことに気が付きました。