轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かぎ
鍵
谷崎 潤一郎
「中央公論」中央公論社、1956(昭和31)年1月、5月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,182 字 · 200 页
たので、今度もそんなに気にしてはいない。―――そうだ、あの時も私は医師の忠告を無視して不養生の限りを尽したのであった。私は死を恐れないわけではなかったが、私の淫蕩の血はそんなことを顧慮する隙を与えなかったのであった。私は死の恐怖に眼を閉じて一途に性の衝動の赴くままに身を委せた。夫も私の大胆さと無鉄砲さに呆れ、今にどうなるであろうかと案じながらも結局私に引き擦られて行った。運が悪ければもうあの時に私は死んでいたのかも知れないのだが、どういうわけかあんな乱暴をしながら直ってしまった。―――今度も私は、正月の末に豫感があり、時々胸がむず痒いような生温いような感じを覚えたことがあるので、変だと思っていたのであったが、二月の或る日、この前の時と全く同じ泡を交えた鮮紅色の血液が痰とともに出た。分量は多くないのだけれども、そういうことが二三回つづいた。今は一時的に治まっているようだけれども、いつまたあれが始まるかも知れない。体がだるくて手のひらや顔が妙に火照るところを見ると、熱があるに違いないと思うけれども、私は測ってみようとはしない。(一度測ったら七度六分あったので、それきり測らないのである)医者にも診て貰わないことにしている。