轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かがみのなかのつき

鏡の中の月

宮本 百合子

「若草」1937(昭和12)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,290 字 · 15 页

青空文庫

「それと山口の場合とはちがいますよ」

瀧子はゆき子の肩をつかまえてしっかりして頂戴、とゆすぶるように言った。

「その人たちはもう結婚していたんじゃありませんか。万一の場合に遺族として法律上の手続きが完結している必要があるからそれをやったんじゃないの」

火曜日の夕方、瀧子のかえるのをどこかで待ってでもいたように、やっと浴衣に着換える間だけおいて、山口が表通りの方から入って来た。今日は彼も浴衣がけで、その大学を出たのでもないのに、藍の地に白の横縞とホーセイとローマ字がやっぱり白で出たのを着ている。これまでの闊達らしい風もなく、

「や、どうも重大なことになって来ましたな」

そこにあった号外を手にとりあげて、

「ふーむ、この分だと大分日本側として決意をかためとるらしいね」など、消息通めかして独言した。そして、

「きょうは、ひとつ、あなたの尊い日本婦人としての母性愛にすがって、もう一遍僕の気持をきいて頂きたいと思って」

と、山口の言うことは、瀧子がゆき子からきいた同じことがらを、もっと感激調に飾った内容であった。

「そりゃ、僕という男は欠点が多いです。人間だから、誤りもある。