轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かがみじごく

鏡地獄

江戸川 乱歩

「大衆文芸」1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,074 字 · 27 页

青空文庫

でも、理窟の上ではできるものとわかっていても、ずいぶん費用と時間のかかることでもあり、そんなにばかばかしいまねをやってみた人もありませんので、いわば彼の発明といってもよく、つづけざまにそのようなものを見せられると、なにかこう、彼が恐ろしい魔物のようにさえ思われてくるのでありました。

そんなことがあってから、二、三カ月もたった時分でしたが、彼は今度は何を思ったのか、実験室を小さく区ぎって、上下左右を鏡の一枚板で張りつめた、俗にいう鏡の部屋を作りました。ドアも何もすっかり鏡なのです。彼はその中へ一本のロウソクを持って、たった一人で長いあいだはいっているというのです。一体なんのためにそんなまねをするのか誰にもわかりません。が、その中で彼が見るであろう光景は大体想像することができます。六方を鏡で張りつめた部屋のまん中に立てば、そこには彼のからだのあらゆる部分が、鏡と鏡が反射し合うために、無限の像となって映るものに違いありません。彼の上下左右に、彼と同じ数限りもない人間が、ウジャウジャと殺到する感じに違いありません。考えただけでもゾッとします。私は子供の時分に八幡の藪知らずの見世物で、型ばかりの代物ではありましたが、鏡の部屋を経験したことがあるのです。