轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かがみもち

鏡餅

宮本 百合子

「新潮」1934(昭和9)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,163 字 · 15 页

青空文庫

サエは、

「毎晩お湯に行ければましなんだけれど……」

と答えながら、足袋のコハゼをかけた。あかぎれの原因はお湯に入るひまがないばかりではなかった。佐太郎しか知らないが、サエは一日のうちに、のべにするとどっさりの距離を歩かなければならないような種類の活動をもしているのであった。

間もなく、下で、

「おまち遠さま――おばあさん、どうかお風呂に行って下さい」

そういうまさの声が聞え、

「ああくたびれた」

二階へ来て、ぺたりと火鉢の前へ坐った。

「とてもひどい人でね――あのひとをかきわけるだけでもいい加減くたびれるわ。ネ」

そう云いながら一緒に行って帰って来た満子が、手編のベレ帽をとって、外套のまま坐った膝におき、寒さで赧くなった手の先を火鉢に出した。

「どうしたい? 俺、散髪に行けるかい?」

佐太郎が目ばたきしながら訊いた。まさはよっぽどくたびれたと見え、絣の羽織のわきあけから懐手をしたまま、首をたれ黙って合点をしている。

進がやっぱり、窓際にもたれたままその様子を見て、

「大分悪戦苦闘したらしいね」

と云ったので、皆がドッと笑った。すると、ぐったりしていたようなまさが自分から大きな声で面白そうに笑い出し、満子と二人で、やすいものを買おうと頭をひねった様子を話してきかせた。