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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

宗助は石の上へ芝を盛って扇骨木を奇麗に植えつけた垣に沿うて門内に入った。

家の内はむしろ静か過ぎるくらいしんとしていた。摺硝子の戸が閉ててある玄関へ来て、ベルを二三度押して見たが、ベルが利かないと見えて誰も出て来なかった。宗助は仕方なしに勝手口へ廻った。そこにも摺硝子の嵌まった腰障子が二枚閉ててあった。中では器物を取り扱う音がした。宗助は戸を開けて、瓦斯七輪を置いた板の間に蹲踞んでいる下女に挨拶をした。

「これはこちらのでしょう。今朝私の家の裏に落ちていましたから持って来ました」と云いながら、文庫を出した。

下女は「そうでございましたか、どうも」と簡単に礼を述べて、文庫を持ったまま、板の間の仕切まで行って、仲働らしい女を呼び出した。そこで小声に説明をして、品物を渡すと、仲働はそれを受取ったなり、ちょっと宗助の方を見たがすぐ奥へ入った。入れ違に、十二三になる丸顔の眼の大きな女の子と、その妹らしい揃のリボンを懸けた子がいっしょに馳けて来て、小さい首を二つ並べて台所へ出した。そうして宗助の顔を眺めながら、泥棒よと耳語やった。宗助は文庫を渡してしまえば、もう用が済んだのだから、奥の挨拶はどうでもいいとして、すぐ帰ろうかと考えた。