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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

宗助はいつものように縁側から茶の間へ行かずに、すぐ取付の襖を開けて、御米の寝ている座敷へ這入った。見ると、御米は依然として寝ていた。枕元の朱塗の盆に散薬の袋と洋杯が載っていて、その洋杯の水が半分残っているところも朝と同じであった。頭を床の間の方へ向けて、左の頬と芥子を貼った襟元が少し見えるところも朝と同じであった。呼息よりほかに現実世界と交通のないように思われる深い眠も朝見た通りであった。すべてが今朝出掛に頭の中へ収めて行った光景と少しも変っていなかった。宗助は外套も脱がずに、上から曲んで、すうすういう御米の寝息をしばらく聞いていた。御米は容易に覚めそうにも見えなかった。宗助は昨夕御米が散薬を飲んでから以後の時間を指を折って勘定した。そうしてようやく不安の色を面に表わした。昨夕までは寝られないのが心配になったが、こう前後不覚に長く寝るところを眼のあたりに見ると、寝る方が何かの異状ではないかと考え出した。

宗助は蒲団へ手を掛けて二三度軽く御米を揺振った。御米の髪が括枕の上で、波を打つように動いたが、御米は依然としてすうすう寝ていた。宗助は御米を置いて、茶の間から台所へ出た。