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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

その頭のうちで、高座に近い前の方は、煙草の煙で霞んでいるようにぼんやり見えた。宗助にはこの累々たる黒いものが、ことごとくこう云う娯楽の席へ来て、面白く半夜を潰す事のできる余裕のある人らしく思われた。彼はどの顔を見ても羨ましかった。

彼は高座の方を正視して、熱心に浄瑠璃を聞こうと力めた。けれどもいくら力めても面白くならなかった。時々眼を外らして、御米の顔を偸み見た。見るたびに御米の視線は正しい所を向いていた。傍に夫のいる事はほとんど忘れて、真面目に聴いているらしかった。宗助は羨やましい人のうちに、御米まで勘定しなければならなかった。

中入の時、宗助は御米に、

「どうだ、もう帰ろうか」と云い掛けた。御米はその唐突なのに驚ろかされた。

「厭なの」と聞いた。宗助は何とも答えなかった。御米は、

「どうでもいいわ」と半分夫の意に忤らわないような挨拶をした。宗助はせっかく連れて来た御米に対して、かえって気の毒な心が起った。とうとうしまいまで辛抱して坐っていた。

家へ帰ると、小六は火鉢の前に胡坐を掻いて、背表紙の反り返るのも構わずに、手に持った本を上から翳して読んでいた。