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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

「死屍累々とはあの事ですね。それが皆夫婦なんだから実際気の毒ですよ。つまりあすこを二三丁通るうちに、我々は悲劇にいくつ出逢うか分らないんです。それを考えると御互は実に幸福でさあ。夫婦になってるのが悪らしいって、石で頭を破られる恐れは、まあ無いですからね。しかも双方ともに二十年も三十年も安全なら、全くおめでたいに違ありませんよ。だから一切ぐらい肖っておく必要もあるでしょう」と云って、主人はわざと箸で金玉糖を挟んで、宗助の前に出した。宗助は苦笑しながら、それを受けた。

こんな冗談交りの話を、主人はいくらでも続けるので、宗助はやむを得ず或る辺までは釣られて行った。けれども腹の中はけっして主人のように太平楽には行かなかった。辞して表へ出て、また月のない空を眺めた時は、その深く黒い色の下に、何とも知れない一種の悲哀と物凄さを感じた。

彼は坂井の家に、ただいやしくも免かれんとする料簡で行った。そうして、その目的を達するために、恥と不愉快を忍んで、好意と真率の気に充ちた主人に対して、政略的に談話を駆った。しかも知ろうと思う事はことごとく知る事ができなかった。己れの弱点に付いては、一言も彼の前に自白するの勇気も必要も認めなかった。