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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

寒く光った。洋服に着換える時、

「御米、おれは歯の性がよっぽど悪いと見えるね。こうやると大抵動くぜ」と下歯を指で動かして見せた。御米は笑いながら、

「もう御年のせいよ」と云って白い襟を後へ廻って襯衣へ着けた。

宗助はその日の午後とうとう思い切って、歯医者へ寄ったのである。応接間へ通ると、大きな洋卓の周囲に天鵞絨で張った腰掛が并んでいて、待ち合している三四人が、うずくまるように腮を襟に埋めていた。それが皆女であった。奇麗な茶色の瓦斯暖炉には火がまだ焚いてなかった。宗助は大きな姿見に映る白壁の色を斜めに見て、番の来るのを待っていたが、あまり退屈になったので、洋卓の上に重ねてあった雑誌に眼を着けた。一二冊手に取って見ると、いずれも婦人用のものであった。宗助はその口絵に出ている女の写真を、何枚も繰り返して眺めた。それから「成功」と云う雑誌を取り上げた。その初めに、成効の秘訣というようなものが箇条書にしてあったうちに、何でも猛進しなくってはいけないと云う一カ条と、ただ猛進してもいけない、立派な根底の上に立って、猛進しなくってはならないと云う一カ条を読んで、それなり雑誌を伏せた。