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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

御米は奥で座敷へ払塵を掛けていた。宗助はそれから懐手をして、玄関だの門の辺をよく見廻ったが、どこにも平常と異なる点は認められなかった。

宗助はようやく家へ入った。茶の間へ来て例の通り火鉢の前へ坐ったが、すぐ大きな声を出して御米を呼んだ。御米は、

「起き抜けにどこへ行っていらしったの」と云いながら奥から出て来た。

「おい昨夜枕元で大きな音がしたのは、やっぱり夢じゃなかったんだ。泥棒だよ。泥棒が坂井さんの崖の上から宅の庭へ飛び下りた音だ。今裏へ回って見たら、この文庫が落ちていて、中にはいっていた手紙なんぞが、むちゃくちゃに放り出してあった。おまけに御馳走まで置いて行った」

宗助は文庫の中から、二三通の手紙を出して御米に見せた。それには皆坂井の名宛が書いてあった。御米は吃驚して立膝のまま、

「坂井さんじゃほかに何か取られたでしょうか」と聞いた。宗助は腕組をして、

「ことに因ると、まだ何かやられたね」と答えた。

夫婦はともかくもと云うので、文庫をそこへ置いたなり朝飯の膳に着いた。しかし箸を動かす間も泥棒の話は忘れなかった。御米は自分の耳と頭のたしかな事を夫に誇った。