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もん
門
宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页
宗助は耳と頭のたしかでない事を幸福とした。
「そうおっしゃるけれど、これが坂井さんでなくって、宅で御覧なさい。あなたみたように、ぐうぐう寝ていらしったら困るじゃないの」と御米が宗助をやり込めた。
「なに、宅なんぞへ這入る気遣はないから大丈夫だ」と宗助も口の減らない返事をした。
そこへ清が突然台所から顔を出して、
「この間拵えた旦那様の外套でも取られようものなら、それこそ騒ぎでございましたね。御宅でなくって坂井さんだったから、本当に結構でございます」と真面目に悦の言葉を述べたので、宗助も御米も少し挨拶に窮した。
食事を済ましても、出勤の時刻にはまだだいぶ間があった。坂井では定めて騒いでるだろうと云うので、文庫は宗助が自分で持って行ってやる事にした。蒔絵ではあるが、ただ黒地に亀甲形を金で置いただけの事で、別に大して金目の物とも思えなかった。御米は唐桟の風呂敷を出してそれを包んだ。風呂敷が少し小さいので、四隅を対う同志繋いで、真中にこま結びを二つ拵えた。宗助がそれを提げたところは、まるで進物の菓子折のようであった。
座敷で見ればすぐ崖の上だが、表から廻ると、通りを半町ばかり来て、坂を上って、また半町ほど逆に戻らなければ、坂井の門前へは出られなかった。