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かいかのおっと

開化の良人

芥川 竜之介

在明治初期的文明展上,偶遇一位神秘子爵,他对一幅铜版画的解读,藏着时代的秘密和个人的故事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,438 字 · 32 页

青空文庫

何しろ萩寺と云えば、その頃はまだ仁王門も藁葺屋根で、『ぬれて行く人もをかしや雨の萩』と云う芭蕉翁の名高い句碑が萩の中に残っている、いかにも風雅な所でしたから、実際才子佳人の奇遇には誂え向きの舞台だったのに違いありません。しかしあの外出する時は、必ず巴里仕立ての洋服を着用した、どこまでも開化の紳士を以て任じていた三浦にしては、余り見染め方が紋切型なので、すでに結婚の通知を読んでさえ微笑した私などは、いよいよ擽られるような心もちを禁ずる事が出来ませんでした。こう云えば勿論縁談の橋渡しには、その骨董屋のなったと云う事も、すぐに御推察が参るでしょう。それがまた幸いと、即座に話がまとまって、表向きの仲人を拵えるが早いか、その秋の中に婚礼も滞りなくすんでしまったのです。ですから夫婦仲の好かった事は、元より云うまでもないでしょうが、殊に私が可笑しいと同時に妬ましいような気がしたのは、あれほど冷静な学者肌の三浦が、結婚後は近状を報告する手紙の中でも、ほとんど別人のような快活さを示すようになった事でした。

「その頃の彼の手紙は、今でも私の手もとに保存してありますが、それを一々読み返すと、当時の彼の笑い顔が眼に見えるような心もちがします。