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とうそう

闘争

小酒井 不木

「新青年」1929(昭和4)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,079 字 · 38 页

青空文庫

だん/\推理を重ねていった後、比較的早く事件の底にかくされた秘密を知ったけれど、その確証をにぎるのに随分苦心した。

「僕は昨日君がかえってから、この二つの品即ち遺書と投書を、机の上にならべて、如何なる順序で研究すべきかを考えた。その結果、最初は先ず、心を白紙状態に還元して、果してこの二つの筆者が北沢その人であるかどうかを研究した。けれども、もはやそれには疑いの余地がなかった。いろ/\北沢の他の筆蹟とくらべて見たが、絶対に他の人であり得ないことがわかった。

「然らば、北沢は何故にかゝる計画を行ったか、何の目的でやったことかを次に研究した。これこそ謎の中心点で、すでに君と話し合っても見たが、遂に昨日は解決が出来なくて別れてしまった大問題だ。昨日も言ったとおり、遺書と投書と別々にしては、色々の目的が考えられるけれど、二つを合せるとたった一つの目的しか考えられなくなるのだ。従ってそのたった一つの目的をさがし出せば凡ての事情が氷解するのだが、何がさて、たったこの二つきりの品によって解決しようとするのだから、なか/\困難だった。

「北沢が何人に投書を依頼したかはわからぬが、とに角、投書は北沢の計画したとおりに投ぜられたにちがいない。