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あなんとじゅじゅつしのむすめ
阿難と呪術師の娘
岡本 かの子
「読売新聞」1928(昭和3)年5月6日~6月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,425 字 · 58 页
第七場の註解
阿難は腕を拱き坐り居る。その袖に娘は縋った儘。雲の中央にて護法の諸天善神達と、呪いの方の眷属等と戦う。
法を護る諸天善神達は絢爛なる甲冑に槊、剣、戟、金剛杵、弓箭にて働く。或は三面に八臂なるあり、或は一面に三眼を具するもある。
呪いの方の眷属は多く妖艶なる美女の姿を装うて居る。侏儒や獣身のものを交ゆ。彼等の武器に使うものは現代の婦人の使う面紗に似て居り、または天平の婦人のヒレに似て居る一種の長絹である。各七色に染め分けられたるその一片を持つ。長絹はその性、これに触るるものに纏縛し、相手の力を吃らせ、萎え痺らせ、焦慮させる技能がある。
両者の戦いの有様を見ると、それは一見闘争である。然しよく見ると、それは闘争の形を執った巧妙な舞踊であるのに気付く。地上より、また天界より音楽あって、この不思議な舞踊の節奏を培養して居る――右の場面暫らく続く――。
そのうち呪いの眷属達は諸天善神達に打ち敗かされ、一人々々雲の上より突き落され、遂に掃蕩され尽す。
第七場の註解
第七場の場面は、音楽と舞踊にて活かす場面である。従ってこの場の芸術的権能も、作曲家と振付家に委ぬべきは勿論の事ではあるが、これ等の芸術によって仕活かすところの宗教的思想――或は宗教的アトモスフィーヤ――に就いて一応作家の意図を述べて、これにたずさわるべき芸術