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かいだん
階段
海野 十三
「新青年」博文館、1930(昭和5)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,588 字 · 32 页
其他の所員たちも多勢駈けつけたが、ミチ子ばかりはどうしたものか却々影をみせなかった。
3
博士は遂に手当の甲斐なく、その儘他界した。忌わしい殺人事件が国研の中に突如として起り、しかも白昼、所長の芳川博士が殺害されたというのであるから、帝都は沸きかえるような騒ぎだった。その騒ぎの中に所内に臨時の調室が出来、僕たちは片っぱしから判事の取調べをうけた。殊に僕は、博士に一番近い場所に居て、しかも博士の異変を最初に発見したというところから、とりわけ厳しい尋問に会わなければならなかった。しかし知らぬことは知らぬというより外に、申し開きようがある筈がない。判事も僕のはげしい態度に眉を顰めはしたが、あの博士の断末魔が聴えた後に、階段を降りて行ったらしい跫音と扉にぶつかる音をきいたということを非常によろこんだ。そして所員について一々ただしてはみたが誰一人その時刻に階段を降りたというものはなかった。僕は自分にかけられた濃厚な嫌疑に立腹し、どうにかして犯人をつきとめてやりたいものと思い、自分だけでは素人探偵になった気で、所内の皆からいろいろの話を集めてまわった。