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ずいひつなん
随筆難
寺田 寅彦
「経済往来」1935(昭和10)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,381 字 · 9 页
が何であるかということを本文の内容から分析的に帰納演繹して、それがどうしても「メヒシバ」でなければならないという結論に達した、その推理の径路を一冊の論文に綴って、それにこの植物の葉まで添えたものを送ってよこされた人があって、すっかり恐縮してしまったことがあった。こうなると迂闊に小品文や随筆など書くのはつつしまなければならないという気がしたのであった。
ある時はまたやはり「花物語」の一節にある幼児のことを、それが著者のどの子供であるかという質問をよこした先生があった。その時はあまり立入った質問だと思ったのでつい失礼な返事を出してしまった。理科の教科書ならばとにかく多少でも文学的な作品を児童に読ませるのに、それほど分析的に煩雑な註解を加えるのは却って児童のために不利益ではないかと思うというようなことを書き送ったような気がする。これは後で悪かったと思った。
以上挙げたような諸例はいずれも著者にとっては有難い親切な読者からの反響であるが稀には有難くない手紙をくれる人もある、例えば、昨年であったか、ある未知の人から来た手紙を読んでみると、先ず最初に自分の経歴を述べ、永年新聞社の探訪係を勤めていたということを書いたあとで、小説家や戯曲家はみんなどこかから種を盗んで来てそれを元にして自分の原稿をこしらえるのだが、自分