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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 页
だが、武蔵の真面目を窺って、彼への研究や崇拝を寄せていた者は、江戸時代からかなり多くの人士にあったのじゃないかと思う。剣道家の著書には必ず彼の遺文や兵法が論評にのぼるし、荻昌国の武蔵伝には、平山子龍が共鳴のことばを書いているし、また武蔵が画も描いたので、渡辺崋山も田能村竹田も、武蔵の画論を書いている。
大川周明、安岡正篤などが、宮本武蔵研究を発表していたのは、震災前だし、その以前に井芹経平も武蔵会雑誌に書き、熊本には宮本武蔵顕彰会が古くからあり、僕は見ないが、碧瑠璃園も武蔵を書いているというし、遺墨集も刊行されているし、近年だけの武蔵に関する著述だけでも枚挙に遑がないといっていい。
それでいて、一般人の抱いている武蔵の空想像は、依然として、院本式な姿をすこしも毀して来ないのだから、およそ民衆の先入主というものが如何に頑固で強情なものであるかがわかる。
そういう強情なお客様の先入観へ向って、まるで懸けちがった武蔵を書いて出すことは、危険であり、夕刊小説として、損でもある。そうかといって講談本式な武蔵なら今さら書く必要もないし、またあれ以上うまくする自信は僕にない。