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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 页
「……いかゞ成行やらん」世
そうした話題に、明け暮れ送っていたろうと思われる。
その小牧の合戦があった年に、武蔵は一歳だった。そして彼が、十七歳で臨んだという関ヶ原の役までに、世の中は、急速に一転変をつげていた。やがて覇者秀吉の創造による秀吉文化に彩られた時代だった。
「……いかゞ成行やらん」世
小牧の合戦から関ヶ原までの十七年間。――武蔵の一歳から十七歳までのあいだの――彼の郷土である山間の人心は、どんなだったろうかと考えるに、その平和中、多少の泰平は謳われたろうが、なかなか中央における醍醐の茶会とか、桃山文化の、あの爛漫な盛時や豪華ぶりは、夢想もできないものだったろうと思われる。
現に小牧の合戦の時でも、
天下動乱の色顕はる。いかゞ成行べき哉らん。心ぼそきものなり。神慮にまかせて、明暮するまで也。無端事。無端事。
「多聞院日記」の筆者は、その天正十二年三月二十二日の項で、そう日記に誌けているのである。中央の知識人でさえ「――いかゞ成行べき哉らん」と観たほどの脅えを抱いたのであるから、地方民の心には、もっと恟々としたものがあったであろう。
小牧の合戦とはいうが、事実は秀吉と家康との二大勢力の衝突で、極く辺境な九州の一部と東奥の一地方をのぞいた以外の土地は、すべて動員された戦争だったから、武蔵の郷土美作地方にも、当然、戦波はまき起ってい