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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 页
彼の略史伝
結果的に、理念の現実固着は、いよいよわれらの現実窒息を急迫にするだけのものになる。
いまだになお、多少、この書が求められたりする理由は、一箇の古人の生涯のあとに、何かしら、ひとつの宇宙観のながれが見られ、それが現代人の心に、ふと、むし暑い夜に仰ぐ天の川に似たような、心の窓をもたせるのではあるまいか。私はそんなふうに考えた。この書の中から、そうしたかすかな涼風でも、読みとられる所があれば、私は、望外なしあわせである。
彼の略史伝
――私は、前にも、幾度か云っている。史実として、正確に信じてよい範囲の「宮本武蔵なる人の正伝」といったら、それはごく微量な文字しか遺っていないということを――である。それは、むかしの漢文体にでもしたら、僅々百行にも足りないもので尽きるであろう。
ここには、その正味に近い史料に拠っただけの小伝をまず掲げておく。
現在、岡山県英田郡讃甘村大字宮本という所が、彼の生れた郷土である。
いま、村に記念碑が建っている。そこが、むかしの家址だという。
文学博士三島毅氏が、碑銘を。また元の熊本藩主細川護成氏が「宮本武蔵生誕地」と題字をかいている。