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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
「なんだろうほんとに。限度というものがあるわよ。音枝は、親せきなんだよ。出てきて一しょに話相手ぐらいすればいいじゃないか――」
「だって、兵六おじさんたら、おかあさんのこと、おやっさん、おやっさんていうんですもの。」
「お安さんにちがいないじゃないの。」
「かげで聞いているとおやじさんみたいにきこえて、おかしくて。ね、浜ちゃん。」
「あんたらがあんまり笑うから、帰ってしまったじゃないの。兵六さん自分ちでおもしろくないことがあったらしいのにさ。出先でまた笑われて。――失礼だよほんとに。」
「ごめんなさい。」
「粗末ななりしてるからって、軽くみるもんじゃないわよ。」
それは浜子にもあてつけていったつもりだったが、音枝が重ねてわびた。
「すみません。そんなつもりじゃなかったわ。浜ちゃんのもらい笑いしちゃったのよ。」
母と娘のやりとりを聞いている浜子は、いっこうに平気で、しかしさすがに馬鹿笑いはやめて、
「鷲兵六なんて、名前が悪いんですわね。でもあの人、少しコレですね。」
左のこめかみのところで指をくるくるさせる。
「浜子さん、あのお客さんは私のまたいとこなのよ。バカにしないでちょうだい。