轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆきのやどり

雪の宿り

神西 清

「文藝」河出書房、1946(昭和21)年3、4月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,995 字 · 51 页

青空文庫

坊の火、また小笠原殿の余炎に懸って片端より焼け上り、妻子の手を引き財物を背に負うて、行方も知らず右往左往いたした有様、哀れと言うも愚かであったと人の語ったことでございました。かようにして内裏の東西とも一望の焼野原となりました上は、細川方は最早や相国寺を最後の陣所と頼んで、立籠るばかりでございます。

けれども程なく十月の三日には、その相国寺の大伽藍も夥しい塔頭諸院ともども、一日にして悉皆炎上いたしたのでございます。山名方の悪僧が敵に語らわれて懸けた火だと申します。この日の戦さの凄まじさは後日人の口より色々と聞き及びましたが、ともあれ黄昏に至って両軍相引きに引く中を、山名方は打首を車八輛に積んで西陣へ引上げたとも申し、白雲の門より東今出川までの堀を埋むる屍幾千と数知れなかったとも申しております。

さあこの報せが光明峰寺にとどきますと、鶴姫様の御心配は筆舌の及ぶところではございません。早々にお見舞いの御消息がわたくしに托せられます。それを懐にわたくしが相国寺の焼跡に立ったのは、翌る日のかれこれ巽の刻でもございましたろうか。さしも京洛第一の輪奐の美を謳われました万年山相国の巨刹も悉く焼け落ち、残るは七重の塔が一基さびしく焼野原に聳え立っているのみでございます。