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ゆきをつくるはなし

雪を作る話

中谷 宇吉郎

「東京朝日新聞」1936(昭和11)年9月17日、18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,931 字 · 6 页

青空文庫

ば良い。鼓型の結晶などが巧く出来たりすると、薄暗い低温室の中で凍った指先に白い息を吹きかけながら、思わずにやりとすることもある。面白いことにはこうして出来る結晶は大抵天然の雪と同じ位の大きさのものである。一つ手の平位の大きさの雪を作って見たいと思うがなかなか出来ない。

この仕事で一つ困ることは健康の問題である。外の気温が高くなると、いくら毛皮の防寒服に身を固めていても、五十度以上の急激な気温の変化に始終遭っていてはどうもいけないようである。自分は真先に降参してしまって、後は若い元気な助手や学生の人たちに任してしまった。

この仕事は面白いことは実に面白いが、ただ一つ涼し過ぎるのが欠点であるなどと、八月の真中に友人に話して羨しがらせているが、実はそう易しい実験でもないのである。

(昭和十一年九月十七、十八日)