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ゆきま
雪間
久生 十蘭
「別冊文藝春秋 第五十六号」1957(昭和32)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,817 字 · 24 页
「へえ……事実なら怖いような話だねえ」
「えゝ簡単なことだったのよ。滋野のサングラスを隠して、雪間の陽の照りだしたところを見はからって、誘いだしの電話をかけるだけ」
一応、筋は通っているが、あの頓馬な笠原がそこまでの芸当をやってのけるかどうか、信じられないような話だった。
安芸子は脇窓から、急に冬めかしくなった錆色の風景をながめながら、呟くようにいった。
「いまとなっては、どうでもいいことだけど、滋野のサングラスは宮ノ下の笠原の部屋のどこかに放りだしてあるはずだわ。あたしにはそれが見えるような気がする」