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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
雪崩だ!
音のしたのは、どうやら峯のあたりである。
「銃声だ。どうしたんだろう」
「何かあったんだ。しかし誰が撃ったんだろう」
「早く行ってみよう。兄さんの雪穴へ……」
二少年は顔色をかえ、雪をかくようにして前へ急いだ。
雪崩だ!
「兄さーん。どうしたんです」
「一造兄さん。今行きますよウ」
五助と彦太は、かわるがわる叫びながら、一秒でも早く一造のいるところへ近づこうと、一生けんめいに走った。
観測所のあるところへは、山をぐるっと、一まわりしなければならない。二少年は気が気でないが、雪に足をとられて、思うように足がはかどらない。
それでもやっとのことで、一造の籠っている雪穴の入口までたどりついたが、そのときはもう銃声が聞えてから二十分もたった後であった。
「兄さん、兄さん」
「どうしたんですか、さっきの銃声は……」
二少年は、そう叫びながら、身体についた雪をも払わないで、雪穴の中へとびこんだ。
「おや。兄さんは見えないぞ」
五助は、観測室の中できょろきょろ。
「じゃあ、外へ出たんだろうか」
彦太はすぐ穴から外へとび出した。そして、あたりの雪の上に目を走らせた。
「分ったかい」
五助が穴から出て来た。