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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
「いや、分らない。でも、ほら、雪の上には僕たちの足跡の外に誰の足跡もついていないよ。すると兄さんは外へ出ないわけだ。やっぱり穴の中だよ」
「そうかしらん。しかしへんだね。穴の中には、たしかにいないんだがね」
二少年はもう一度、穴の中に入った。そして、しきりに一造を呼んでみたが、やっぱりその返事は聞かれなかった。
「おかしいねえ、あかりがいつもついているんだが、今日は消えていらあ」
「そうだ、暗くて分りゃしない。あかりを早くおつけよ」
「どこだったかなあ、電池のあるところは……」
五助は奥の方へいって、手さぐりでそこらをなでまわしていたが、とつぜんおどろきの声をあげた。
「ああ、たいへんだ。電池がひっくりかえっている。……おや、いつの間に掘ったんだろう。穴の奥が深くなっているぞ」
と、そのときである。どこからともなく、ごうッという音が聞え始めた。すると雪穴の外にいた彦太がとびこんできた。
「五助ちゃん。早く外へ出ないとあぶない。雪崩がやって来たぞ」
「えっ、雪崩。それはたいへんだ」
「早く、早く……」
二少年はころがるようにして雪穴の外へ出た。ぱらぱらと、雪のつぶてが降って来た。