轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆき

雪

楠田 匡介

「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页

青空文庫

着くのが、楽しみ位なものでしてね。私などもご覧の通りもう雑書を……」と山村は、後の書棚をふり返った。そこには大きな本棚がならんでいて、仏典の外に歴史や、古文書に関したもの、泉鏡花や森おう外の全集さては外国のシリーズ物らしい本が、背の美しい金文字と飾りをあわいランプの灯の中に浮かしていた。

「ほう、大変なもので……」とやはり、人並以上に本の好きな、田名網警部は、心からうらやましそうに合づちを打った。本当に、本を愛する者でなければ、あのズラリとならんだあの美しい装丁の感覚にはとらわれない。殊にこうしたヘンピの地ではそれは唯一の楽しみであったであろう。

「父は若い時から、相当和本類を集めていまして、その血が、私につながって来たのでしょう。私もごらんの通りの本好きでして……」

とふと彼は笑ったが「父の蔵書は私の遊学中、早川さんに大部分お譲りしていました」と声を落した。

「そうですってね。……今度の事件があったからではないんですがそんな事で御先代と早川さんの間に、何か問題でもあったような事……まあそんな事は、あなたにお聞きするのも変なことですが……」

「さあ別に……父は、中には大変おしがっていたものもありましたが……」