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ゆき

雪

楠田 匡介

「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页

青空文庫

警部が入って行くと、むっとストーブのいきれが寒さに、痛い程強ばった顔を襲った。ゴシゴシと両手で、顔をこすりながら入って行く警部に、久保田検事が立って来て手を出した。

「お久しゅう。お元気で……」

「君こそ、とんだ所で会ったもんだね……何かね、あんたの子供さんが、製紙にいるんだって?」

「ええ、長女が嫁いで……」

「そうだってね……ふとさっき古市君から聞いてね……会い度かったし、ご意見でも聞かして頂こうと思ってね、電話をしたんですよ。まあまあ、僕を助けるつもりで一つ」

「あっははは、とんでもありません。私が久保田さんをお助けするなんて……」

「昔は新聞記者さん達がアミさんの行く所に犯罪あり、って追っかけ歩るいていたもんでしたね」

古い同僚である古市署長がいった。

「それは逆だ。事件のある所に僕が行くんで、僕の行った処に、犯罪が起きたんじゃまるで僕が、犯人見たいじゃありませんか……あはははは。まあね。何のお手伝いにならんかもしれませんが、勉強になりましょう。参考に拝見さして頂きますよ」

「嫌な事件でね。余程上手に立ち廻ったとみえて内側からカギまでかけた『密室の殺人』