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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

「新青年」1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页

青空文庫

まごついた彼は、ベソをかくような笑い顔をした。

副官殿に話して見たって、今となってどうなるものか、伍長の母親と弟がどうなろうと公務は公務だ、前線へ行けば死骸も分らない将兵が何十万と居るではないか。

で、彼は勢よく答えた。

「孫伍長は元気であります。お蔭様で、もう心残りはないのであります」

「そうか、それはよかった。これは返事だ。同様機密だから、そのつもりで沈団長に手渡しするのだぞ」

「はいッ」

「団長に吉報だと云ってお渡ししてくれ……それから話は別だが、お前にも進級の話があるかも知れん。まア一生懸命にやれ」

「はッ」

「では列車に遅れないように早く行け」

副官は上機嫌だった。

“母……弟……吉報……進級”

孫伍長は列車に乗り込んでからも、それが頭から離れない。

伍長になったことでさえ母や弟は驚くであろうに、軍曹になって長剣を帯びて行ったらどんなに喜ぶだろうか。しかし、その母達の行方も分らないとは何ということだ。

彼は、自分が立派な軍人になって、母や弟や、隣の小孩や、誰や、かやに取まかれている所を想像しながら、汗ばむほど拳を握りしめていた。

“偉くならなきゃア駄目だ、偉くなれば、お母さん達を捜し出すことでも何でも出来る。