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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

「新青年」1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页

青空文庫

そのボロ着物にたまっている赤い鉱石の粉末、妙に光る眼、栄養不良の体躯――。

孫軍曹は、それを見る度に、黄中尉の守備する鉱区へ向った夕暮の陰惨極る印象を思い出すのだ。

“俺に、あんな思い切ったことの出来たのは、あの地獄の血の海のような丘を見て、気がどうかしていたに違いない”

その晩、彼は部屋へ帰って来て、机に向うと、手帳にそんなことを書いた。

「軍曹殿御用中ですか」

「なアに悪戯書きだ。国境で壕に埋められたことがあってから、俺の分隊で遺書や日記を書くのが流行ってね、やり始めて見たんだが、俺はどうも字が下手でね」

孫は、苦笑いしながら手帳を内ポケットにしまい、机の上の字引を抽斗へ放り込んだ。

「何か用か」

「鉱山事務所から応援を求めて来ましたが……」

「な、何が起ったのだ」

軍曹は立ち上って武装しようとした。

「いえ、少年坑夫が逃亡を企てたのです」

「…………」

「誰かやらないと、吾々も責任を問われますが――」

孫はジロリと徐を睨んで返事をしなかった。ぞっとするような眼だ。

と、だあーんと遠くで銃声が聞えた。

「おい、子供でも撃つのか」

「はあ、一発でとまらなければ、射殺していいのであります。